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介護と財産 [介護日記]

親の財産はほしいけど、介護はしたくないというのが、昨今の一般的な傾向だと聞いている。

今から40年前のこと、祖母の長男(母にとっては弟、私にとっては叔父)は、祖父母が守ってきた山を含む千坪余りの土地を次々と売り払って現金に替え、ほしいものを手に入れてきた。
そして、もう売る土地も尽きてしまった30年前、叔父は祖母のためにという名目で、自宅が建っていた敷地内の土地まで手放し、大きな家を新築した。
その時、母が子どもの頃から馴染んでいた何本もの大木は切り落とされ、風情のあった庭も見る影もなく消えてしまった。
家を新築している間、叔父の家とは目と鼻の先に住む母が、祖母を預かることになった。母の叔父夫婦に対する葛藤は日増しに強くなっていった。

母自身は夫を交通事故で失くし、祖父(母にとっては父親)から少しばかりの土地を与えられたとはいえ、それからは働き続けて、中学2年だった私を筆頭に3人の子どもたちを育てながら、自力で家を建て、その後も増改築をしてきた。

だからこそ、祖父の財産を切り崩すだけで、労せずして家を新築しようとする叔父夫婦の姿勢を認めることはできなかったのだろう。

さらに、母が祖母を預かっている3ヶ月余りの間、祖母の様子を叔父夫婦が一度も見にこなかったというのも、母には許せることではなかった。
叔父夫婦があれだけの財産を受け継ぐからには、祖母に対してもそれなりの心遣いをしてもらいたいと思ったのだろう。
また、新築する家は祖母のために建てるとはいいながら、老い先短い祖母よりは自分たちのために建てるというのも、明白なことだった。

母の一番の不満は、生きること=食べることになっている祖母の食事が、母から見れば満足のいくものではなかったこと、また、祖母が叔父一家の中で、家族の一員として扱われずに、厄介者としてみられていることに対しても、心中穏やかな気持ちではいられなかった。

30年後の今、私はあの時の母と同じ思いを味わっている。
思いがけなく、母の所有する土地が道路計画にひっかかることになり、行政側からかなりの保証金が出ることになって、4年前から母と同居している下の弟一家が、そのお金を全部使って、母のために新しい家を建てると言い出したからだ。
弟一家と同居するようになってからうつ病になり(原因のすべてが弟一家にあるとは思っていないが)、持病の腰痛のために自分の体も思うようにならない母は、すっかり弱気になり弟夫婦の言いなりになっている。

私の弟夫婦に対する最大の不満は、今回の家の新築の件にとどまらずに、これまでにも経済的に母に寄りかかって生活してきているのに、「一緒に住んでやっている」という気持ちばかりが強くて、自分たちが母からしてもらっていることへの感謝の気持ちが感じられないことだった。

さらに、これは下の弟だけでなく、母に対しての不満にも結びつくことなのだが、毎月母に送金して、母の生活を全面的に支えてくれている上の弟夫婦に対しての感謝の気持ちが、下の弟からも母からも感じられないことだった。

下の弟は自力で家を新築することはできないと開き直っているが、上の弟だって生活に少しばかりの余裕があるとはいえ、購入したばかりの家のローンを少しでも早く返却したい気持ちがないと言ったら嘘になるだろう。
下の弟は教育費が大変だからと言っているが、わが家だって教育費とローンの返済が重なった時期は大変だった。
なのに、下の弟は自分勝手なことばかり言っている、と私も上の弟も思っていた。

また、食事のこと、母が家族の一員としてみなされてないことなども、30年前の祖母と母がたぶって見えて、当時の母を私がなぞっているようにも思われてならなかった。
叔父夫婦は母や妹たちには雀の涙ほどの土地を与え、自分は多くの財産を受け取りながら、祖母に対する態度は冷たかったというのが本当のところだった。

昨年の暮に突然、道路と家の建て替えの問題が持ち上がって、ブログを書く気にもならずに(書けば下の弟夫婦の悪口になってしまうし、財産の問題も絡んでくるのでそれもいやだったため)、葛藤が続いていたのだが、ここに来てやっと、自分の中で決着がついた。

下の弟から、最近、母への感謝の言葉を聞くことができたからだ。
それと、母を大切に想う私の気持ちは、下の弟と切り離して考えればいいと思い至ったからだ。

さらに、下の弟は、母から財産をもらうかわりに、自分の妻と母の間で苦しむことになるだろうことも容易に想像できた。
神経質(実の娘の私でさえ、母の細かさには閉口してしまうことがある)で、言いたいことも言わない母と、弟でさえも頭が上がらない気の強い弟の嫁とでは、相性が悪いことはこの上なしだからだ。
これからも続くであろう弟夫婦の葛藤は、ことによると、一番大変かもしれないとも思う。年老いていく母のためにも、私や上の弟が間に入ることによって、その葛藤をより大きなものにしてはいけないのだとも思った。

少しさびしい気がするが、今はもう母は私の母というより、守らなければならない子どものような存在になってしまった。
それを認めたくなくて、もがき続けていたのかもしれないとも思う。


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Haruka

行く先を照らすのはまだ咲かぬ見果てぬ夢、haruka後ろを照らすのはあどけない夢。 旅はまだ終わらない。
これは中嶋みゆきの詩の一部ですが。

見果てぬ夢に踊らされて、これからこれからの旅を歩んでください。
by Haruka (2007-04-22 14:25) 

ちいとと

Harukaさんコメントありがとうございます。見果てぬ夢を咲かせるのは簡単ではないようです。家の前に塾の看板は出したものの、ウチの近辺は人通りも少なく、子どもも少ないせいか、まだ生徒は来ていません。
そこで、今は空いている時間は英語の勉強に当てていますが、これが結構楽しいのです。そのうち国語だけでなく、大学受験の英語まですらすら読めるようになればいいな、とも思っています。

Harukaさんは今、何が楽しいですか。
私は、やはり、生徒に向かっているときだと、実感しています。
by ちいとと (2007-04-26 21:19) 

Haruka

多分、これは遺伝的なものだと思うのですが、私はなんにでも興味がわいてきます。 頭が活性化するのは研究で議論して新しいアイデアが出てきて夜もそれを考え続けることです。私は入社以来研究。 
文章を書くとき、頭をそれなり活性化させてくれるのは「山の愛唱歌集」---netにあり。---ピアノがひけたらと羨ましくなる。
昔からよく山に登りましたが、登ることも最近は好きになった。登ることそのものが快感あり。これは不思議です。 
中学の美術の先生が陶芸家で、そこで色んな人と飲みながら雑談するのも楽しい。先日は飲み仲間と先生の弟子の陶芸家の野中の一軒屋も訪問。これも楽しい。 
英語で議論すると新しいアイデアが出てきます。もしかしたら日本語とは別の脳を使っているのかと思います。英語頑張って。別の文化? 予想外に同じことも多いしそれも面白い。
by Haruka (2007-04-27 07:08) 

ちいとと

Harukaさんはいろいろな楽しみをもっているのですね。
私もいろいろなことに興味があって、新しい何かを見つけると心が弾みます。
心配事があって眠れないということはありませんが、夢の実現に向けていろいろなことを考えていると、興奮して眠れないということはあります。

英語で議論ができるなんてうらやましいです。
地道な努力を続けて、私もいつの日にかと思ってます。
by ちいとと (2007-04-28 23:35) 

こう

感謝の気持ちが大切ですね。苦労するとやさしくなると昔から言われていますが、叔父さんや弟さんはどうだったのでしょうか。

また、英語を勉強し始めました。
日本の文化を外国人に伝えたいからです。
残念ですが、日本の文化の勉強も必要なことを痛感しています。
今のところ、やりたいことをするための実力はありませんが、今からでも遅くは無いと信じてやっております。
by こう (2007-04-30 23:30) 

ちいとと

感謝の気持ちは思っているだけではなかなか伝わらずに、言葉に出してみてはじめて伝わるということもありますよね。けれど、「ありがとう」の言葉は、相手との関係性もあって、誰にとっても素直に言える言葉でもないようです。

こうちゃんも英語の勉強を始めたのですね。
何かをやり始めるのに遅いと言う事はないと思います。
私は夏が終わる頃までに、大学受験の英単語を1900覚えることと、並行して英語の物語を何冊か読むことを目標にしています。
お互いに継続できるようにしたいですね。
by ちいとと (2007-05-01 21:49) 

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